こんにちは、ミィです。私は、第一子を出産後に、産後うつになり、産後3カ月で精神科に入院しました。3カ月間の入院生活を経て、産後9カ月頃には、ほぼ元通りの生活を送れるまでに回復しています。
読者の方からよくご質問いただきます。「どうすればうつは治るんですか?」私も入院した当初にうつ病の患者仲間によく聞いたことです。今回はそのお話です。
主治医に「何も考えず、何もしないで寝てなさい」と言われる。
入院初日、主治医の向井先生からは「今はとにかく休むように」との指示がありました。
ところが、休み方が分かりません。
入院3日目、私は向井先生に聞きました。
「休みなさいと言われても、休み方が分かりません。他の患者さんと話して気晴らししたりして、現実逃避をしています。」
向井先生は「それでいいですよ。」と答えました。
入院して間もない頃は、病院内を診察のために歩き回っている向井先生を捕まえて質問攻めにしました。
ミィ「頭のしびれはどうすれば治りますか?」
向井「考えごとをやめれば治ります!」
ミィ「将来や育児に対する強い不安感があります。どうしたらいいですか?」
向井「今は考えない!」
ミィ「うつ病について知りたくてつい調べてしまいます。ダメですよね?」
向井「調べるのはいいけど、参考程度にすることです。人によって症状も回復過程もぜんぜん違うので。」
ミィ「外出すると頭のしびれと重い感じが強くなるんですけど、外出しない方がいいですか?」
向井「行きたかったら行くこと。辛かったらやめること!」
私は他にもたくさんの質問をノートにまとめて、「あれはしてもよいか?これはダメか?」と質問攻めにする勉強熱心な(面倒臭い)患者でした。向井先生は私に言いました。
「こうするべきというのはありません。あなたにとっては、頭のしびれと重さが疲れたというサインです。やりたかったらやっていいから、疲れたらやめてください。」
それでもなお、私は次の日に向井先生を捕まえて、「襲いかかるような不安感がないので、デパス(抗不安薬)をやめたいです。リフレックス(抗うつ剤)は効いているんですか?」と、薬のことを心配し始めました。ついに、向井先生はビシッと一言。
「あなたは頭が回りすぎちゃってる状態だから、何も考えず、何もしないで寝てなさい!」
主治医の言うことを信じて着いて行きな。
考えるなと言われても、考えてしまいます。何も考えずに何もしないで寝てるなんて、そんな難しいことを要求されても困ると思いました。
私は活発なうつ病だったので、自分の部屋に閉じこもらず、共用スペースを歩き回って患者仲間に話しかけていました。
周りは精神疾患を10年以上も患っている患者さんばかりで、いくつもの苦難を乗り越えてきた凄みがあり、その話はとても説得力がありました。
私はある患者仲間に「うつ病は本当に治るの?頭に霧がかかったみたいなんだけど、いつかクリアになるの?」と聞きました。
患者仲間は「私も最初はそう思った。でも、クリアになるよ。今は本当になーんも考えないで、ただひたすら医者の言うことを信じて着いて行きな。うつ病は早く治療すれば早く治るんだから!」と励ましてくれました。
私にとっては真っ暗の中に、小さな光がともったような、心強い言葉でした。
私は向井先生の言うことを信じようと思いました。それからは外出もやめ、とにかくたくさん眠るように努めました。
一日12~14時間眠る入院生活
私の入院生活はだいたいこんなスケジュールでした。
8時 起床
8時 朝食
9時 コインランドリーで洗濯
10時 リハビリのクラスに出席
11時 仮眠
12時 昼食
13時 お昼寝
15時 おやつ(他の患者さんとお話したりする)
18時 夕食
19時 日記をつける
20時 シャワー
21時 お薬を飲んで就寝
私が服薬していたのは、抗うつ剤のリフレックス、抗不安薬のデパスとメイラックスでした。すべての薬に睡眠導入の効果があり、私は一日中眠たくて、気持ちよく眠りにつくことができました。
どうしてもやらなくてはいけないことと言えば、三食の食事を食べて、眠ることだけ。リハビリのクラスは気が向いたときに出席すればいいというもの。それ以外の時間はすべて睡眠に当てました。一日12時間~14時間は眠ったと思います。
出産してからの3カ月間、出産の疲れが取れないまま、眠れずに育児を続けていたので、体の中の疲れが一気に出て、体が眠りを欲していたようでした。
しかし、こんなに眠っている人は私だけでした。他の患者さんたちは、睡眠薬を飲んでも眠ることが出来なかったり、早朝に起きてしまったりと、重い不眠を抱えている人も少なくありませんでした。私はお薬が効きやすい体質だったようで、それには幸いしました。
眠っている時間だけは考えごとをしなくて済むので、私は貪るように眠り続けました。
うつ病治療のカギは睡眠
うつ病治療の基本は、服薬と休息と言われていますね。
私は全くその通りだと思っています。だまされたと思って、薬を飲んで眠っとけ!最初のうちはこれに尽きると思います。
うつ病のときは思考力が低下するにも関わらず、よからぬこと(将来に対する不安、罪悪感、死にたいなど)ばかり頭の中をぐるぐる回ってしまいますから。
うつ病のときに考えていることと言うのは、後から振り返ってみると「なんであんなことを考えていたんだろう?」ということばかりです。
ですから、とにかく自分の頭で考えようとするのをやめること。思考を放棄すること。そのために眠ること。これが基本のキだと思っています。
私の場合は、睡眠が回復のカギになったことは間違いありません。
とはいえ、不安、罪悪感、悪い想像を考えることをやめられないのがうつ病の特徴でもあります。これからの記事では、私がそのような困難をどう乗り越えて行ったのかを書いていきます。
⇒ つぎの記事 「母親ならみんな一人で育児してる。出来ない私は母親失格。」という罪悪感。