こんにちは、ミィです。
今、「産後うつ」はHOTな話題。毎日新聞の報道が原因で、一気に注目されるようになりました。
妊産婦自殺:10年で63人…東京23区 産後うつ影響か – 毎日新聞
http://mainichi.jp/articles/20160424/k00/00m/040/088000c
東京都だけで、1年に6人もの妊産婦が自殺しているという現実。
「精神科と産婦人科が連携し薬の処方を調整するなど、適切なフォローがあれば救えた命があった可能性もある。」
まったくその通りです。
私自身、精神科を受診するのが遅くなり、自殺を決意するまで悪化してしまった過去は、未だに悔しい。もっと早く適切な医療にたどり着いて、早く治療を始めていたら、あんなに苦しい思いはしなかったはずです。
私と同じように苦しい思いをしているお母さん達に、思いが届けばいいのですが。
私にできることは何か?
産後うつ当事者の生の声を届け続けること。
いろいろな立場の方が、産後うつに関しての情報を発信されていますが、私は当事者の声を伝えた続けたいと思います。
それでは、今回も、読者様からの体験記です。
今回、寄稿していただいたのは、ねへさんです。ねへさんは、現在7カ月の赤ちゃんのお母さんです。
ツイッターでやりとりさせてもらっていますが、文章からは、しっかり者で、信頼できるお人柄だということが伝わってきます。
それでは、ねへさんの体験記です。
ねへさん(うつ病)の体験記
1 診断名
うつ病
2 服薬したお薬
女神散(漢方)
レクサプロ、ルネスタ、ロヒプール、マイスリー
3 症状
①不眠
産前はいつでもどこでも眠れたのに、産後3週間位から、子どもが寝ていても眠れなくなった。里帰り後は、一睡もできなかったり、寝付くのに3時間以上かかったり、眠りも浅く夢ばかり見て、寝た気が全くしなかった。
②料理ができない
元々料理が好きだが、献立を考えるのも頭が働かず、どうしていいか分からなくなった。買い物に行っても何を買えばいいのか分からなくなった。
③楽しめない・気分転換できない
おしゃべり、読書、買い物など、産前は楽しめていたことが全く楽しめなくなった。
④食欲不振
⑤子どもが可愛くない
産後2週間までは、「自分の子がこんなに可愛いなんて!」と感動していたのに、子どもを可愛いと思えなくなり、こんな訳のわからない物体をなぜ産んでしまったのかと後悔するようになってしまった。
⑥自責
母乳をうまく吸わせられない、ミルクを足す、可愛がれないなんて、母親失格だと感じる。産後3ヶ月、義実家に子どもを預かってもらったが、母親失格な上に周りにも迷惑をかけていると感じた。
⑦希死念慮
毎日生きているだけで辛く、この地獄が続くなら死んだ方がマシだと思った。死ぬ方法までは考えなかったものの、車の運転をしているときは「このままブレーキ離したらどうなるかな。」道を歩いているときは「誰か轢いてくれないかな。」と考え続けていた。夫には「死にたい。」と訴えていたが本気にされなかった。
4 原因
①母乳神話
私が産後うつになった原因は、「母乳神話」だと思います。
産院では母乳の出が良くなく、退院時にとりあえず混合を続けるように指導されました。
産前は、ミルクなら子どもを人に預けることもできるので混合でいいと思っていたのに、産院が母乳を推奨していたことや、自分でネットで調べたりするうちに、ミルクを足すことに罪悪感を感じるようになっていきました。
ネットで授乳について徹底的に調べ、母乳外来に通い、自分でもマッサージをし、食べ物に気を付け、頻回授乳を頑張って、母乳の出は良くなったのですが、子どもがおっぱいを吸うのが下手で、乳首が痛くて、授乳の時間が辛くて辛くたまらなくて・・・
母乳外来でマッサージをしてもらったときにはピューピュー母乳が出ているのに、体重を測ると全然吸えていない。
助産師からは、「母乳は出ているから、できるだけ吸わせて。量を回数で稼いで。とてもいいおっぱいなんだからもったいない。」と言われたこともあり、完全母乳にこだわりました。
息子は、一度にたくさん飲めず、疲れて寝てしまいます。お腹いっぱいになっていないのですぐに愚図る・・・この繰り返し。
結果、昼も夜も、子どもは全然寝てくれず、私も睡眠が取れなくなっていきました。
②吐き戻し
吐き戻しにも苦労しました。息子は、新生児の時から吐き戻しが多く、産院の新生児室では、窒息しないようにいつも横向きに寝かされてしました。苦労して飲ませた母乳も吐いてしまうので、できるだけ吐かないようにゲップの方法を調べまくったり、授乳の後は、吐き戻しをしないように長時間縦抱きをしなければいけませんでした。
吐き戻しが多いので、着替えや洗濯も多く、本当に大変でした。
③体重増加不良
母乳の出が悪く、吐き戻しも多かったので、退院してから1週間後に小児科を受診しました。体重をチェックすると、体重が増えておらず、小児科医に「体重が増えていないのは大問題。母乳もミルクも、タイマーかけてでも2時間置きに飲ませて。」と怒られてしまいました。
5 治療過程
<産後6週> おかしいと思い、産院を受診してみたところ、漢方を処方されました。
<産後8週>
産院の助産師外来や、市の助産師訪問にて「死にたくなる。眠れない。」と訴えたところ、「心療内科を受診するという手もある。」と言われました。
このままだと母子ともにどうかなってしまうと思い、実母が訪問した際に、子どもを預けて突発的に受診しました。近所のクリニックは予約1カ月待ちだったのですが、市内に大きい精神科・心療内科があり、予約不要ですぐに診てもらうことができました。
後から、市の助産師に「あそこならすぐに診てもらえるからいい選択だったと思う。」と言われましたが、先に教えてくれれば良かったのにと思います。
<産後10週>
産後8週からお薬を処方されていましたが、母乳へのこだわりや抗鬱剤への抵抗があってなかなか飲めず、毎日飲み始めたのは9週頃でした。それまで、連続して1時間眠れるかどうかでしたが、産後10週には、3時間ほど眠れるようになりました。
<産後12週>
3時間ほど眠れるようになりましたが、悪夢を見ていて熟睡感はありませんでした。睡眠薬を飲んでも熟睡できるわけではないし、抗鬱剤もすぐに効いたわけではないので、このまま治らないのではという気持ちが大きくなっていきました。
眠れていないので日中吐き気もありました。友達と会う予定も全く楽しめない。
死にたい気持ちがピークに達し、主治医の前で号泣したところ、入院を勧められました。私の気持ちとしては入院したかったのですが、両家とも、入院しなくても子どもを預かれると言うので、入院はやめました。
<産後13週>
義実家の両親は仕事をしていなかったため、2週間預けて休養することになりました。
2日に1回、子どもの様子を見に行きましたが可愛いと思えませんでした。一人にしてもらっていても休めず、急に死にたくなり、気が狂いそうになって泣いてばかりいました。
無理に会いに行かないようにしたところ、買い物をしたり少しだけ気分転換できるようになりました。
<産後15週>
義実家に預けて2週間経つ頃、子どもが可愛く思えるようになりました。死にたい気持ちも消えました。ここから子どもの写真が急に増えました。
<産後4ヶ月>
ひどく落ち込むことがなくなり、自責の念が減りました。食欲も戻り、熟睡できる日も出て来て、連続で4時間ほど眠れました。体も動くようになりました。
当時に、夫に対する怒りが湧いてくるようになりました。妊娠出産ってすごく大変なのに、どうして私がそれを全部引き受けなきゃいけないの?というもどかしさだと思います。夫は、里帰り中の一番大変だった時期を知らないので・・・
<産後5ヶ月>
意欲が出てきて、友達と会ったり支援センターに行けるようになりました。料理の段取りも良くなりました。
<産後6ヶ月>
趣味を楽しめるようになり、頭の回転が戻って来ました。物欲も湧いて来ました。
<産後7ヶ月>
主治医より、「抗鬱剤はもうなくてもいいかもね」と話がありました。日中の活動は、産前と同じように戻りました。睡眠に関しては、寝付きは良いのですが、中途覚醒や早朝覚醒してしまうこともあり、もう一歩というところです。
6 一番つらかったことは?
自分か子どものどちらかが死なないと逃げられないという気持ちです。なんで産んでしまったんだろう、
産む前に戻りたいと思ってしまうことが辛かったです。
身体症状としては、とにかく不眠が辛かったです。
7 回復するためにはどうしたらいいと思いますか?
・完全母乳にこだわりすぎないで欲しい
母乳でもミルクでも混合でも、それぞれの苦労はあるし、どんな方法であっても子どもは育ちます。母親がやりやすい方法を選択すればいいと思います。ミルクや混合の人も意外といっぱいいます!
・子どもが寝てるのに眠れなくなったら要注意
母親は眠れないものだと言われていますが、子どもに起こされて眠れないのと、子どもが寝てるのに眠れないのは全く違います。
・早期発見、早期治療
自分でおかしいなと思ったらすぐに病院を受診して欲しいです。精神科・心療内科に行ったら薬漬けにされると思っていたいましたが、もっと早く行けばよかったと思っています。治療が遅くなればその分治るのも遅くなるので、とにかく病院へ。
・周りを頼る
鬱のときは自責の念が強いので、これ以上周りに迷惑を掛けられないと思っていたましたが、治療が遅れるともっと迷惑をかけることになります。産後鬱は母親のせいではないので、頼れるところ(夫、実家、義実家、行政など)は全て頼って、元気になったら恩返しをすればいいと思います。
・できるだけ子どもと離れて休養
私の場合は、子どもと離れていた2週間で大分良くなりました。眠れなかったら眠剤を出してもらって眠る。とにかく横になる。8 最後に、うつママさんへのメッセージ
産後鬱は母親のせいではないです。「頑張りすぎちゃったかな」と助産師に言われて「まだまだ私は頑張っていない。」と思いましたが、今思えば頑張りすぎでした。子どものことを大切に思いすぎて鬱になってしまったと思います。
ミィさんのブログに出てきた、向井先生の「育児は母親の心の安定が一番。」という言葉は、本当にその通りだと思います。
現在、産後7ヶ月で服薬中ですが、子どもが可愛くて仕方ないし、毎日楽しめています。
産後鬱は治療をすれば必ず良くなるから、お薬飲んでしっかり休みましょう。子どものためにも、周りのためにも、まずは自分を大事にしてあげてください。
どうか辛い思いをする母親が少なくなって、みんな楽しく育児できればと思います。
ミィのまとめ
ねへさんは、最初に産婦人科を受診して異変を訴えているのに、漢方薬を渡されただけで、精神科の受診を勧められることはありませんでした。
しっかりされた方なので、その後ご自身の判断で受診され、ことなきを得ていますが、もしそのままになってたらもっと悪くなっていたことでしょう。
産婦人科が、産後うつの知識を持ち、精神科を紹介してくれるシステムがあれば、より早く産後うつに気づくことができただろうと思います。
ねへさんの体験談は、うんうんと頷くことばかりですが、特に「周りを頼る」ホント大事ですよね。
私も、鬱のせい自責の念が強くなってしまい、「これ以上みんなに迷惑かけたくないから、死のう。」とまで思い詰めました。冷静に考えれば、自殺するのが一番迷惑ですが、そのときは自殺がベストな選択に思えていました。子育てなんて、普通の人でも一人で出来るものじゃないから。みんなに助けてもらっていいんです。
と、私も何度も自分に言い聞かせていますが、未だに「みんなちゃんと一人でやってるのに、やっぱり私はダメだ。」と落ち込んでしまうことがあります。
でも、「後から恩返しすればいい!」そう考えると、すごく心が楽になりました。
ねへさん、前向きで、すごくためになるメッセージを、本当にありがとうございます。
これからも、産後うつ体験記の寄稿にご協力いただける方を募集します。
このブログでは、「産後うつ」=「産後、うつなどの精神疾患」という意味で使っています。
うつ病に限らず、双極性障害、パニック障害、産褥精神病などの精神疾患を患った方やうつ病までは行かないけど抑うつ状態だったという方の体験記を募集しています。形式は自由ですが、今回の記事をひな型にしていただいても大丈夫です。
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