⑯ 産後うつ治療編(入院2ヶ月目)

産後うつ病の私に出来る子育て。保育園に預けるという選択。

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こんにちは、ミィです。私は、第一子を出産後に産後うつを患い、産後3カ月から精神科に入院しました。3カ月間の入院生活を経て、産後9カ月には寛解しています。

さて、今回は、前回の記事(3歳児神話の呪縛から自由になろう。)の続編です。前回の記事で、「子どもがどう育つかなんて分からないから、自分に出来る育児をして行こう。」と思った私。ところで、うつ病の私にでもできる育児って、何だろう?

 

「自分でやらなきゃ」から「みんなに育ててもらおう」へ

主治医の向井先生からは、診察の度に同じことを言われました。

育児で一番大事なことは、母親の心が安定していること。

そうは言われても、うつ状態がひどかった私は、主治医に言われた言葉をうまく理解し、今後の自分がどうするべきか、前向きに考えることが全くできませんでした。

ただ、不安。お先真っ暗。病気が良くなるとは思えない。我が子恐怖症が治ってひとりで育児できるようになるなんて、1mmも想像できない。実家にも、義理実家にも、お世話になることは出来ない。自分は3カ月間の入院期間が終わったら、別の病院に転院するか、死ぬかしか道はない。

と、本気で考えていたんです。入院して1カ月くらいは。人から何を言われても、上の空でした。

ところが、うつ病が良くなってくると、心が上向いて来るんですね。うつ病になったことを肯定し、友だちに電話したり、入院生活を楽しむ余裕が少しずつ出てきました。

入院40日目には日記にこのようなことを書いています。

今は、大ちゃんのためにも、私は何としても生きてそばにいなければならないと思う。もし、私が死んだら、大ちゃんは「自分のせいで、ママが死んだ」と思ってしまうだろう。うつ病でも何でも生きなければ。

「お母さんがいつもベッタリ一緒にいなきゃならない」という思い込みが良くない。うつ病の不安定な母がベッタリ育児するよりは、保育園に育ててもらって、その分、私が少しでも安定した状態で育児をした方がいい。「自分がやらなきゃ」を「みんなに育ててもらおう」に発想を変えよう。

入院当初は、ベストな選択は「自分が死ぬこと」だと思っていたのに、「何としても生きなければ」と思うに至り、保育園という具体的な解決策まで考えられるようになりました。

それまで、保育園という選択肢は頭の片隅に浮かぶことすらありませんでした。

ところが、入院仲間が「知人の産後うつの人は、子どもを保育園に入れて治療したら、2~3年で働けるまで良くなった。」と言うのです。

その方が、保育園の素晴らしさをいろいろと教えてくれたことで、私は、子どもを保育園に入れることを前向きに考えるようになりました。

入院後40日、退院後の生活のイメージがちょっとだけ見えてきました。これを機に、私の病状はさらに回復していきます。

 

自分の病気のために保育園に預けることへの罪悪感

医師の診断書を書いてもらって、自分の病気が理由で子どもを保育園に預ける選択は、なんとなく罪悪感がありました。

大多数の人は働いているのに、病気が理由で預けて、自分は家で休んでいるなんて。少し頑張れば一人でやれるんじゃないか?一時保育(週に2~3日預ける)でも、何とかやっていけるんじゃないか?

どうしても、「普通のお母さんは一人でやってるのに、できない私はダメ人間だと自分を責める気持ち」と、「自分で育てたいと思う気持ち」が湧いてきてしまうのでした。

退院する直前(産後87日)まで、私は一時保育で少しの間頑張って、元気になったら自分で育てようと思っていました。

でも、結局は、いろいろな方からの助言があり、正式に保育園に入園することになりました。

というのも、やはり、3カ月間も入院して寝てばかりいた私は、とても一人で育児できない状態でした。意欲はあっても、気力と体力が続くわけがありません。

自分で薄々分かっていたので、とても不安で、保育園に何度も電話し、「一時保育でちゃんとやっていけるか不安です」と相談しました。

保育園の先生は、「お母さん、不安なら通常入園した方がいいんじゃない?その方が、お母さんにとっても安心だし、大ちゃんにとってもいいことだと思いますよ。」と言いました。

私は思いました。

「主治医の向井先生も『育児で一番大事なことは母親の心が安定していること』と言ってた。自分が育てたい気持ちはだたの自己満足なのかもしれない。やっぱり、保育園に正式に入園させよう。」

向井先生に相談すると、先生も「退院後は何があるか分からないから、通常入園するように。」と言って、診断書を書いてくれました。

どうやら、向井先生は、入院当初から「保育園を使う」という退院後の出口が見えていたようでした。

こうして、私は退院直前に、大ちゃんを保育園に入園させる決心をしました。

保育園を利用したことは、子どもにとっても本当によかった

やはり、退院後しばらくは、体力がなくて毎日フラフラでした。

それでも、何とか一人でやれたのは、保育園のおかげです。

大ちゃんを保育園に送り出したあとは、家事などを少しやり、空いた時間でお昼寝したり、自分のペースでゆっくりと過ごすことができたので、心身ともに本当に助かりました。

今、大ちゃんは1歳半になり、保育園に通い始めてからちょうど1年になります。

毎日保育園の準備をして、大ちゃんを保育園に送り届け、夕方迎えに行く日々も1年かと思うと、胸にこみ上げるものがあります。

保育園で大ちゃんのことを本当に可愛がってくれる先生たち。

夏祭り、運動会、クリスマス会などの行事のたびに成長する大ちゃん。

大ちゃんは色々なことを覚えました。ミルクを飲ませてもらって寝ていただけの子が、今や自分の手でスプーンを持ってご飯を食べ、歩き回っている。

一緒に過ごすお友達も、ともに成長し、あと少しで、0歳児クラスを卒業して1歳児クラスになろうとしています。

保育園に預けているから、家で見ているお母さん達よりは楽が出来ていますが、大ちゃんは毎月1回は風邪を引き、抵抗力の弱っている私は9割方うつってしまいます。私なりに大変な1年でした。

退院して間もなくは、ファミリーサポートセンターもよく使っていました。(市に委託された地域のお手伝いサービス。)

今は、保育園やファミリーサポートを利用して、本当によかったと思っています。

私はうつ病になって、助けを求めたときに、色々な人から助けの手を伸ばしてもらいました。保育園の先生、保健師さん、ファミリーサポートの方・・・

大ちゃんはみんなに育ててもらっています。本当にありがたいことです。

産後うつになってしまった方にとっては、「いかに色んな人の手を借りて育児するか」が課題だと思います。

私が聞いた中では、祖父母の助け、保育園、乳児院、児童養護施設、ファミリーサポートを利用している方が多いようです。

保健センターの保健師さんは、こう言ってくれました。

「保育園に預けることを決して、『ママの負担を軽くすること』と思わないでください。『大ちゃんに色々な経験をさせてあげているんだ』と思ってください。」

今は、本当にその通りだと思います。

保育園に限らず、いろいろな人の手を借りて育児することは、母親にとってだけでなく、子どもにとってもいいことだと。

⇒ つぎの記事  向精神薬が大嫌いだった私が、向精神薬に助けられた話。

 

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